先日、業務スーパーに行くと、塩を大量に買っているおばさんがいた。
1㎏、2㎏の量ではない。
業務スーパーのカートに山盛りの塩。
業務スーパーで売っている塩は一袋1㎏なので、目算ながら少なく見積もっても20㎏、下手をすると30㎏ぐらいはあるのではないか、それぐらい大量の塩である。
業務スーパーはその名の通り、飲食店の方も普通に仕入れに来るので、このおばさんも恐らくは飲食業の関係者だと思われるが、そうだとしても、あの塩の量は尋常ではない。
あの大量の塩、いったい何に使うのだろう…。
業務スーパーからの帰り道、自転車に乗りながらぼんやりと考えた。
自分が家で自炊するときのことを考えると、一番塩を使う料理はパスタだ。
パスタのゆで汁に入れる塩。
自炊をしているとき、一番塩を使うのはこの時である。
しかし、いくら塩を使うといっても、ゆで汁の塩分濃度は1%ぐらい。
どんなに塩分濃度をあげても1.5%が限界だろう。
それ以上入れると塩辛くて食べられたものではない。
本職のイタリアンレストランのゆで汁がどれぐらいの量なのか知らないが、仮に10リットルだとしても入れる塩の量は100g、多くても150g程度だろう。
そうなると、1か月に使う塩の量は、定休日を考慮して、多くても3㎏程度だろう。
30㎏近い塩は明らかに買い過ぎである。
パスタでないとすると、あの塩は…。
それからというもの、大量に塩を買っていたおばさんのことが頭の片隅に引っかかってどうにもすっきりしない日々が続いていた。
しかし、あるとき、ふとした瞬間にピンとひらめいた。
梅干しである。
私が現在住んでいる小田原は、曽我の梅林を有していることもあって、梅干しが特産品の一つになっている。
5月も中ごろになると、スーパーに小梅が出回り、もう少しすると青梅、六月の中頃になると熟した黄色い梅が出てくる。
梅農家の人はもちろん、手作りの梅干を作っている飲食店でも、これぐらいの時期になると一年分の梅干を樽で大量に仕込む。
ご存知のように、梅干しを仕込むには大量の塩を使う。
梅干しを仕込む飲食店の関係者なら、ちょうど今の時期に塩を大量に買ったとしても合点がいく。
ずっと引っかかっていた疑問がスッと解消されたこの日、夕食に「ズッキーニと油揚げの味噌汁」を作った。
〇材料
ズッキーニ
油揚げ
玉ねぎ
長ネギ
顆粒出汁の素
味噌
〇レシピ
油揚げは熱湯をかけて油抜きする。
ズッキーニは5ミリぐらいにスライス。
玉ねぎはスライス。
油抜きした油揚げは食べやすい大きさにカット。
長ネギは小口切り。
鍋に材料を入れたら、水と顆粒出汁を入れ沸騰させる。
沸騰したら軽く灰汁をとる。
灰汁をとったら火を弱めて蓋をし、ズッキーニに味がしみこんで柔らかくなるまで10分ほどコトコト煮る。
ズッキーニが柔らかくなったら味噌をとき、長ネギを入れる。
軽くひと煮立ちしたら器に盛って完成。
だし汁が染み込んだズッキーニがトロトロでうまい。
簡単にできるうえに、野菜がたっぷりとれるので一人暮らしにはありがたい一品だ。