自宅作業の自営業なので、ずっと家にいる。
不思議なもので、毎日毎日、同じ仕事部屋にいると、むしろ、家の外の出来事がよくわかることがある。
もう、10年ぐらい前になるだろうか。
今住んでいるこの場所に引っ越してきて2年ほど経った頃、夕方17時ぐらいになると、毎日、犬を連れて散歩をしている若い男性がいた。
家の中で仕事をしているので、ただ犬の散歩をしているだけであれば、外を歩いている人の存在を気にすることもないし、そもそも、犬の散歩ぐらいでは、外の道を人が歩いているということにもほとんど気づかない。
しかし、この男性に関しては、その存在をはっきり認識することができた。
それというのも、この男性、犬の散歩をしながら、全力で歌をうたっているのだ。
今、“全力で”という言葉を使ったが、この男性の歌い方、ちょっとやそっとの歌い方ではない。
本気も本気、腹から声を出して、家の中にいてもしっかり聞こえる声量で高らかに歌い上げている。
私が住んでいるアパートは、その男性が歩いている道の側の窓がすりガラスになっていて、そのままだと男性の姿を確認することができない。
しかし、あまりにも気になったものだから、窓を少しだけ開けて、その男性が歌いながら散歩している姿を見てみたことがある。
外見は取り立てて特徴のない、やせ型の若者。
年齢は20代前半のようだったから、当時の自分よりも10歳ほど若い。
スマホで音楽を聴いているようで、耳にはしっかりとイヤホンがつけられていた。
中型の犬を連れていて、ものすごい大声で歌をうたっているということ以外は、ごく普通の犬を散歩させている若者だ。
この男性がうたっている歌は、10年ほど前ということを考えてもやや懐かしめのJ-POPで、B’zやチャゲアス、徳永英明などが多かった。
特に、B’zはお気に入りのようで、Aloneをよく歌っていた。
先程から、この男性の声の大きさばかりを書いてきたが、歌唱力も素人ながらそれなりにちゃんとしていて、聞いていて不快になるようなレベルではなかった。
むしろ、素人の中ではかなりうまいレベルなのではないだろうか。
しかし、そうは言っても、B’zの高音はこの男性にとってもなかなか難しいと見えて、Aloneのサビの部分、「それぞれの」のあたりになると、声が裏返って音程がヘロヘロになっていた。
だが、少しぐらい音程が狂おうが、キーが高すぎて声が出なかろうが、その男性は少しも臆することなく、いつも大声で歌をうたいながら犬を散歩していた。
夕日のオレンジ色に包まれた背景も手伝って、そのたたずまいには、やや滑稽でありながらもどこか幸せな雰囲気があった。
それからしばらくして、急にその男性の姿を見なくなった。
毎日のように聞こえていた、夕方の歌声も聞こえなくなった。
もう10年ほど経つので、その男性もたぶん30歳ぐらいになっていると思う。
引っ越したのか、それとも何かあったのか、今はどこで何をしているのだろう。
夕食前にふとそんなことを思い出した中年おじさんは、この日、ジャガイモとハムの炒め物を作った。
〇材料
ジャガイモ
ハム
塩
ブラックペッパー
ドライバジル
オリーブオイル
〇レシピ
ジャガイモは太めの千切りにする。
(細めに切ると炒めた後の食感が悪くなるので、太め推奨。)
ハムも適当な太さで細切りにする。
フライパンにオリーブオイルを敷く。
フライパンが熱くなったら、ジャガイモとハムを入れて炒める。
ジャガイモに火が通ったら塩をふって炒める。
塩がなじんだら、ブラックペッパーとドライバジルをふって軽く炒める。
皿に盛って完成。
塩のみのシンプルな味付けだが、ブラックペッパーとバジルの香りが立って旨い。
ご飯のおかずというよりは、お酒のおつまみに適したメニューかもしれない。
〇動画
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