スパイスカレーが好きだ。
はじめて自宅でスパイスカレーを作ったのは3年ぐらい前。
最初に作ったときには、初めてということもあり、そこまで旨いとも思わなかった。
しかし、味覚的に何か引っかかるものがあって、その後、何度となく作り続けるうちに自分好みの味が作れるようになった。
スパイスカレーを作るようになって一年ぐらい経った頃だったように思う。
冷凍庫の奥で冷凍保存されていた市販のカレールーを見つけ、そのカレールーを使ってキーマカレーを作って食べたことがあった。
もともと、市販のカレールーで作るキーマカレーは好きだったのだが、当時すでにスパイスカレーに慣れてしまっていたせいか、ルーの小麦粉感がしつこく感じてしまって、食べたときに以前のような美味しさを感じなくなっていた。
そんなこともあって、今では完全なスパイスカレー派である。
スパイスカレーを作っていると、ある問題にぶつかる。
その問題とは、すなわち、「スパイスカレーを作るときに入れるホールスパイスは、いつ取り出すのか問題」である。
恐らく、この問題は、私だけが直面している問題ではなく、スパイスカレーを作っている人は誰でも一度はぶつかる問題だと思う。
スパイスカレーを作るとき、パウダースパイスの他にホールスパイスを入れる。
通常、鍋に油を敷いたらすぐにホールスパイスを入れて、そのままテンパリングして油にスパイスの香りを移すのだが、その後、ホールスパイスは、調理の最後までずっと鍋の中に入ったままである。
この鍋に入れっぱなしのホールスパイスはいつ取り出せばいいのだろう。
もちろん、スパイスの種類によっては取り出せないものもある。
クミンシードはその代表例で、そもそもあの大きさのものを取り出すことはできないし、味的にもカレーと一緒に食べたからといって特になんということもない(むしろ美味しい)ので、わざわざ取り出すことはない。
また、シナモンのように取り出しやすいホールスパイスも特に問題はない。
シナモンはサイズ的にも見た目的にもすぐに取り出せるので、煮込む工程が終わってご飯にかける直前にでも、ひょいと拾って取り出してしまえばそれで終わりである。
問題は、クローブやカルダモンのような、大きさ的に微妙に取り出しにくいのだが、そのまま食べると明らかに味のバランスが崩れてしまうスパイスである。
これらのスパイスは、カレーの中でうっすら香っている分には非常にいい仕事をしてくれるのだが、カレーを食べている途中で何かの拍子で口に入ってしまい、それをかみ砕いてしまうと、口の中にトイレの芳香剤のような強烈なにおいが広まる。
そのため、カレーを皿に盛る前に、どうにかしてクローブやカルダモンのようなスパイスを取り出したいのだが、なかなか効率のいいやり方が思いつかない。
現在、私は、カレーを作る前に、その日使うクローブとカルダモンの粒数を覚えておき、カレーを作り終わって皿に盛る段階で、箸で鍋の中をさらって一つずつクローブとカルダモンを取り除いている。
この作業がどうにも面倒なのだ。
また、面倒なだけでなく、カルダモンは調理の過程で熱で殻が割れて元の形状を保っていないことが多いので、箸で取り出そうにも、そもそも鍋の中でカルダモンが見つからなくて取り出しきれないことがある。
そうなると、カレーを食べているときに取り逃したカルダモンが口に入って、口の中がトイレの芳香剤のにおいで満たされることになるのだ。
以前、この「ホールスパイスをいつ取り出せばいいのか問題」がどうしても気になって、ちょっとググってみたことがある。
いくつかのサイトを見たのだが、本来、ホールスパイスは取り出さないものらしい。
カレーに入ったまま皿に盛って、食べるときによけて食べるようだ。
「本場インドではそうなのだ」と言われてしまうと「ああ、そうですか」としか言いようがない。
しかし、あの強烈なホールスパイスが皿の中に入っているというのは、日本的なカレーの食べ方からすると、やはり、邪魔である。
何かいい方法は無いものかと考えを巡らせてはみるものの、未だ、決定的な解決策は見いだせていない。
スパイスカレーの作り方に悩む中年おじさんは、この日、ツナとキャベツのスパイスカレーを作った。
〇材料
ノンオイルツナ(汁ごと) お好みの量
キャベツ お好みの量
玉ねぎ 200gぐらい
トマトピューレ 130gぐらい
おろしニンニク 適量
おろし生姜 適量
砂糖 8gぐらい
塩 8gぐらい
サラダ油 50gぐらい
◇ホールスパイス
クミンシード:小さじ2
シナモン:適量
カルダモン:3粒
クローブ:5粒
◇パウダースパイス
コリアンダーパウダー:5g
クミンパウダー:2g
ターメリックパウダー:1g
フェネグリーク:1g
ホワイトペッパー:1g
一味唐辛子:お好みで
※パウダースパイスは、SBのカレー粉など市販のもので代用可
〇レシピ
スパイスを調合する。
ノンオイルツナは汁ごと使うので準備しておく。
玉ねぎはみじん切り。
キャベツは1センチ幅ぐらいで切っておく。
茎の固い部分は薄切り。
フライパンにサラダ油を敷く。
フライパンが温まる前にホールスパイスを入れて炒める。
クミンシードがシュワシュワしてきたら玉ねぎを投入して炒める。
焦げ付きそうになったら、水を入れながら炒める。
玉ねぎが茶色になったら、おろし生姜、おろしニンニク、水を入れて炒める。
生姜とニンニクの香りが上がったら、キャベツを入れて炒める。
キャベツがしんなりしたら、トマトピューレと水少々を入れて炒める。
全体がなじんだら、砂糖と塩を入れる。
砂糖と塩がなじんだら、パウダースパイスを入れて軽く炒める。
(パウダースパイスを入れると一気に焦げやすくなるので注意)
パウダースパイスがなじんだら、ノンオイルツナ(汁ごと)と水を入れ、再沸騰したら火を弱火にして25分ほど煮込む。
しっかり煮込んだら、仕上げにガラムマサラを入れる。
ガラムマサラがなじんだら、皿に盛って完成。
ツナの旨味が出てくるまでしっかり煮込むのがポイント。
缶詰で作れる料理は一人暮らしの強い味方だ。