19日の午前4時、アメリカの政策金利発表が行われた。
結果は予想通り0.25%の利下げ。
しかし、この利下げに対し、クリーブランド連銀のハマック総裁が反対して据え置きを主張。
全会一致での利下げではなかった。
また、来年の利下げ回数予想が当初の4回から2回に変更されるなど、利下げしたという事実とは裏腹にかなりタカ派な内容となった。
パウエル議長の会見でも、「利下げペースを減速する時期に到達した」という発言が出た上、さらに、「(来年の利下げから利上げへの転向について)可能性は低い」というかたちで完全否定はしなかったことで、FRBのタカ派姿勢を裏付けるかたちになった。
この結果を受けてダウは1100ドル安。
50年ぶりの10日連続値下がりとなった。ドル円は政策金利発表の後、153.676から154.629まで1円弱上昇。
その後も上下を繰り返しながら、最終的に18日の日足は154.777で引けた。
その後、19日の日本時間には日銀の政策金利発表があった。
発表された時間は11:50分。
結果は現状維持。
現状維持で織り込まれてはいたものの、まさかのサプライズ利上げもあるかと思われていたので、現状維持の発表を受けてドル円は上昇。
発表直後に154.576から155.257まで上昇した。
しかし、この日の本番はここからだった。
15:30から始まった植田総裁の記者会見は、まさかの超ハト派な内容。追加利上げの時期に関して、「来年の春闘のモメンタムなど、今後の賃金の動向についてもう少し情報が必要」という発言が出てきた。
当初、今回の政策金利発表と総裁会見では、政策金利を据え置いて、その後の会見で一月利上げに対して強い姿勢を明確に示すというのがコンセンサスだった。
ところが、実際の総裁会見では、一月どころか三月(春闘)、しかも、その三月についても「情報が必要」という過剰なまでの慎重姿勢が示されたのだ。
総裁会見の直後からドル円はスルスルと上昇。
15:30の155.215から一時間後の16:30には156.770を付けた。
その後、一時的に押す場面もあったものの、上昇の勢いは止まらず、アメリカ時間に入った20日の午前0:00過ぎには157.807まで上がっている。
19日安値の154.434から見ると、3円以上上昇したことになる。
今回のFOMCと日銀、両中央銀行の姿勢を比較すると、アメリカは来年以降の利下げ回数が大幅に減少する見通しでタカ派の姿勢。
他方、日本は来年の利上げそのものが不透明になるような超ハト派な内容だった。
色々なアナリストの見解や、SNSの動向を見ていると、2025年のドル円相場は、アメリカが利下げ、日本が利上げで円高ドル安に動くというのが大方の見方だったように思う。
しかし、この日のFRBと日銀の発表で、上記の見通しは、少なくとも中央銀行の側からは、完全に否定されたように思う。
唯一、当初の見通し通り、来年以降、円高ドル安に動く要素があるとすれば、来年1月20日に就任するトランプ大統領だけのように思われるが、果たしてどうなることやら…。
2024年は円キャリートレードが猛威を振るったが、2025年も再び円キャリーが復活するのだろうか…。