この日、日銀の金融政策決定会合があった。
いつものように、11時過ぎに政策金利が発表され(今回は据え置き)、15:30から植田総裁の記者会見が行われたのだが、この記者会見の最中、トルコリラが対円、対ドルともに大きく下落した。
対円で14%、対ドルでは12.6%下落しており、まさに大暴落。
暴落の原因は、エルドアン大統領の政敵であり次期大統領候補でもある現イスタンブール市長のエクレム・イマモール氏が、汚職とテロ組織への資金提供の容疑で逮捕拘束されたというニュースだった。
この事件を受けてトルコの地政学リスクが強く意識され、トルコリラと債券が下落。
株もサーキットブレーカーが発動される大幅下落となり、為替、債券、株のトリプル安になった。
この状況を受けて、トルコ中銀は通貨防衛のため記録的な規模の外貨売却トルコリラ買いを実施。
これにより、トルコリラは対ドル、対円ともに下落前の水準を回復するには至らなかったものの、ある程度は落ち着きを取り戻した。
今回、イマモール氏が逮捕された際、イマモール氏の母校であるイスタンブール大学が、逮捕容疑である汚職などを理由に氏の学位を抹消したと発表。
トルコでは大学の学位がなければ大統領選に立候補できないとのことで、イマモール氏は、今後、大統領選への出馬が不可能になった。
トルコはNATO加盟国であり、その兵員規模はアメリカに次いで加盟国の中では第二位。
ロシアとウクライナの戦争からアメリカが手をひく見込みが強くなった現在、NATOの中でトルコの存在感が増してきたところで今回の一件が勃発。
残念というかなんというか…。
こういうところが、トルコが投資先としていまいち信頼できない理由なのだろう。
この騒動はしばらく後を引きそうなので、今後数週間はトルコの動向を気にする日が続きそうだ。
2025年3月19日のトルコリラ円チャート

2025年3月19日のドルトルコリラチャート

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〇今回の事件をまとめたニュース記事
