日銀の金融政策決定会合と植田総裁の会見に注目が集まる中、11時過ぎに突如としてトランプ砲が放たれた。
トランプさんが、「習主席との会話は順調だった」「中国に対して関税を使わざるを得ない状況は避けたい」と発言したというニュースが伝わると、米中の貿易摩擦に対する懸念が後退してドル安が加速。
ユーロドルは1.04158から1.04487まで上昇。ポンドドルも1.23544から1.23986まで上昇。豪ドルドルも0.62827から0.63186まで上昇した。
ドル円は、他のドルストレートよりも反応は鈍かったものの、156.374から155.886までジワリと下げた。
その後、12:23に日銀の政策金利が発表された。
結果はあらかじめ予想されていた通り0.25%の利上げで、政策金利は0.25%から0.5%になった。
今回の金融政策決定会合は、氷見野副総裁の発言や植田総裁本人の発言、さらには、各種メディアのリーク記事で、利上げがガチガチに織り込まれているなかでの開催となった。
そのため、利上げしたとしても果たして素直に円高になるのか疑問視されていたが、いざ利上げが発表されると、ドル円は一時的に156.393まで跳ね上がる場面もあったものの、その後は、ズルズルと下がって155.004まで下落した。
15:30からは、植田総裁の記者会見。
植田総裁の発言内容で大きく動くことも多いので注目度は高かったものの、今回の会見は、良くも悪くも中央銀行総裁の会見らしい会見という感じで、今後の政策に対して言質を取らせないような、のらりくらりとした発言に終始した。
実際、植田総裁の会見中、上は155.686、下は154.836まで上下に振られる場面はあったものの、明確な方向感は出なかった。
あくまで個人的な感想なのだが、この日の植田総裁はいつもよりも落ち着いた雰囲気で、淡々と質疑応答をこなしていたので、記者会見そのものに慣れてきたような感じがした。
トレードする立場としては寂しい限りだが、今後も、こういった感じの会見が続くのであれば、金融政策決定会合後の植田総裁の記者会見で、今までのように大きく動くことはなくなるのかもしれない。
会見後しばらくは、上記の154.836から155.688の範囲でうろうろしていたが、19時過ぎに155.688を超えるとそこから一気に上昇。22時過ぎに156.577をつけた。
先週の木曜日(16日)から、トランプさん絡みの話題やら今回の日銀やらで、上下に一時的に大きく振られる場面はあるものの、ふと気づくと155.800辺りをうろうろしているような展開が続いている。
2017年から21年までの第一次トランプ政権では、コロナショックによる一時的な激しい値動きはあったにせよ、基本的には、ドル円のボラティリティが極端に低下し、ガチガチのレンジ相場が4年間続いた。
今回も前回と同じような相場になるのか、先のことは全く分からないものの、なんとなく、今回も同じような展開になりそうな雰囲気が漂っている。
ドル円の代わりにと言ったらなんだが、トランプさん当選以降、ユーロドルやポンドドルなど、ここ数年ガチガチに煮詰まっていたドルストレートの動きが少し軽やかになってきた。
2022年の4月に119円を突破して以来、FXの主役は完全にドル円だった。
しかし、第二次トランプ政権の始動をきっかけに、主役通貨ペア交代の時期が来たのかもしれない。