2月1日、トランプ大統領は2月4日からカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の関税をかける大統領令に署名した。
関税の徴収はアメリカ東部時間で2月4日の0時01分(日本時間午後2時01分)から始まる。
この決定を受けて3日の為替相場は、どの通貨ペアも大きく窓を開けてスタートした。
ドル円は31日金曜日の終値が155.148だったのに対して、3日の始値が154.707で44.1ppの窓開け。
ユーロドルは31日金曜日の終値が1.03664だったのに対して、3日の始値が1.02398で126.6ppの窓開け。
ポンドドルは31日金曜日の終値が1.23979だったのに対して、3日の始値が1.23080で89.9ppの窓開け。
豪ドルドルは31日金曜日の終値が0.62149だったのに対して、3日の始値が0.61562で58.7ppの窓開け。
ドルカナダは31日金曜日の終値が1.45199だったのに対して、3日の始値が1.47327で212.8ppの窓開け。
ユーロ円は31日金曜日の終値が160.835だったのに対して、3日の始値が158.422で241.3ppの窓開け。
ポンド円は31日金曜日の終値が192.356だったのに対して、3日の始値が190.658で169.8ppの窓開け。
豪ドル円は31日金曜日の終値が96.425だったのに対して、3日の始値が95.315で111ppの窓開け。
カナダ円は31日金曜日の終値が106.846だったのに対して、3日の始値が104.979で186.7ppの窓開け。
また、3日、トランプ大統領は、上記三国への関税以外に、EUへの関税も「間違いなく実地される」と主張。
さらには、同日、「南アフリカへの資金援助の停止」も発表した。
トランプ大統領のこういった動きに対して、カナダ、メキシコ、中国は、それぞれ「米国に1550億カナダドル相当の報復関税を課す(カナダ)」「対米報復(プランB:具体的な内容は非公表)を発表する(メキシコ)」「世界貿易機構(WTO)に提訴する(中国)」と主張。
一気に貿易戦争の様相を呈してきた。
関税に関する話題ということもあって、「米国内の物価上昇→インフレ悪化→金利上昇」の思惑が働き、ドル一強の様相だったが、同時に、関税対象国の報復を伴う情勢不安から円も買われており、ドル買い円買いでクロス円が大きく下落した。
トランプ大統領は、選挙の段階からカナダやメキシコへの高い関税を主張していたが、これを外交上のブラフとみる市場参加者も少なくなかったように思う。
そのため、ずっと「関税をかける!!」という主張がなされていたわりには、相場に織り込まれていなかったのだろう。
先週の月曜日にはDeepSeekショックがあったばかり。
二週連続で週の頭に大きな動きが出る展開になっている。
メキシコ、カナダ、中国に関税を課すことに対するトランプ大統領の発言
トランプ大統領のEUに対する発言
トランプ大統領の南アフリカに関する発言
報復関税に関するカナダのトルドー首相の発言
報復措置に関するメキシコのシェインバウム大統領の発言
報復措置に関する中国当局の発言
〇追記 メキシコへの関税を一ヶ月先送り
4日の0時過ぎ、メキシコのシェインバウム大統領は、トランプ大統領との電話会談後、「米国がメキシコに対して課す関税が一か月延期されることになった」と発表した。
また、トランプ大統領も「メキシコへの関税の一ヶ月先送りを確認」「メキシコとの交渉は、この一ヶ月の間で行われる」と述べて、シェインバウム大統領の発言を裏付けた。
両大統領の発言を受けて各通貨ペアは大きく巻き戻され、ドルストレートはおおよそ朝に開いた窓を埋めた。
〇追記 その2 カナダへの関税を一ヶ月先送り
4日の朝6時過ぎ、カナダのトルドー首相は米国がカナダに対して課す予定だった関税が一ヶ月先送りになると発表した。
これに関しては、トランプ大統領の側からも同様の発言がなされている。
先送りの条件として、カナダは不法移民と合成麻薬フェンタニルへの対策を大幅に強化することとなった。
3日から始まったトランプ大統領の関税にまつわる騒動は、いったん沈静化したように見えるが、メキシコとカナダへの関税は、あくまでも「一か月延期」なので、一か月後にはまた同じような騒動が起こるのだろうか…。