この日の午前中、神奈川県金融経済懇談会で、氷見野日銀副総裁があいさつし、その発言内容によってドル円が上下する場面があった。
発言の主な内容は以下の通り。
「経済見通しが実現すれば利上げへ」
「来週の決定会合では利上げを行うかどうか議論し判断する」
「支店長会議でも全体的に強めの報告が多い」
「デフレ脱却なら実質金利マイナスがずっと続くのは普通の姿と言えず」
「政策運営に当たっては、タイミングの判断が難しくかつ重要」
「経済をマイナスのショックが襲っているような状態や、デフレ的な様々な諸要因が強固に残っている状態では、実質金利がマイナスになるということは必要でもあり、決して不正常でもないが、ショックやデフレ的な諸要因が解消された状態であれば、実質金利がはっきりとマイナス兎の状態がずっと続く、というのは、普通の姿とは言えないのではないかと思う」
「経済メカニズム含め、おおむね見通しに沿って進んでいる」
「内外に上下双方向のリスク要因を注意深く判断する必要」
「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、輸入物価上昇の影響から4%にまで至ったが、その後は徐々に落ち着いてきている」
「来年度・再来年度については2%程度に着地するというのをメインシナリオ」
「今後も政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」
「国内での注目点の一つは、2025年度の賃上げの見通し」
「海外での注目点の一つは、米国の新政権の政策と、それが米国経済・世界経済・日本経済に与える影響」
「多くの中央銀行のコミュニケーションでは、『それぞれの決定会合の時点までに手に入ったデータの全体像をよく見て、会合ごとに判断していく』という姿勢が基本線」
「金融政策の今後について考え、予測するうえで役に立つように、基本的な考え方や、経済の現状についての見方について発信することは極めて大切」
「毎回の金融政策決定会合の結論について、事前に市場に完全に織り込んでもらえるようにコミュニケーションをとるべきだ、ということにはならない」
「経済の動向よりも日銀の言いぶりの変化ばかりに市場の注目が集まることになりかねず、それも決して望ましいことではない」
利上げを示唆するタカ派的な発言もしているものの、今月の決定会合での利上げについては「議論し判断する」と述べるにとどまっており、個人的には総じて玉虫色の発言のように思える。
実際、ツイッターなどで氷見野副総裁の発言が伝わると、ドル円は、安値157.117から高値158.011の範囲で一時的に大きく乱高下したものの、その後は方向感なく推移している。
一時的なボラティリティは出たものの、結局は、単に相場を引っ掻き回すだけで終わってしまった感じがする。
氷見野副総裁の発言を伝えるニュース画像